はじめに
最近、AIエージェントを並列で動かして実装を進める「マルチエージェント開発」がかなり現実的になってきました。
私も以下の先行記事・実装を参考にしつつ、MCPサーバーと実運用フローを自作しました。
- Claude Code × MCPで複数AIエージェントを作って並列開発する
- MCPサーバーを作って、Claude Codeでマルチエージェントの並列開発を実現する(v1.1.0)
- Codex CLIでMCPマルチエージェント並列開発を実現する
- yohey-w/multi-agent-shogun
今回の記事では、次の2点を中心にまとめます。
- 自作した
multi-agent-mcpとmulti-flow / multi-issue-flowの構成 - 参考実装にはない追加機能(差分)の調査結果
この記事の前提
参考実装側
multi-agent-shogun のREADMEでは、最小構成のMCPツールセット(Worker作成、タスク送信、状態確認、出力確認など)で並列開発を回す思想が示されています。まず「動くマルチエージェント」の基礎を作るには非常にわかりやすい構成です。
今回の実装側
今回作った実装は次の3つです。
- MCP本体:
shiiman/multi-agent-mcp - Claude向けWorkflow:
shiiman/claude-code-pluginsのmulti-flow/multi-issue-flow - Codex向けWorkflow:
shiiman/dotfilesの同名グローバルスキル
狙いは「試作レベルを超えて、日常開発で壊れにくく回せる運用基盤」にすることでした。
参考にはない機能を調査して整理
比較しやすいように、差分を機能カテゴリごとにまとめます。
| 機能カテゴリ | 参考実装(基礎) | 今回の追加実装 | 実運用での価値 |
|---|---|---|---|
| ロール分離 | Worker中心 | owner / admin / worker の3層ロール + 権限チェック |
操作責務を分離し、誤操作を減らせる |
| タスク運用 | 単純なタスク送信 | タスク作成・キュー投入・依存関係・優先度 | 大きめタスクを分割して管理しやすい |
| 自動割り当て | 手動寄り | 空きWorkerへの自動割り当て、バッチ作成 | 並列化の立ち上げコストを削減 |
| 障害復旧 | 基本操作中心 | ヘルスチェック、attempt_recovery、full_recovery |
セッション異常時の復旧が速い |
| Git連携 | 最小限 | git worktree 管理、gtr 連携、完了タスクのマージ補助 |
ブランチ衝突を減らしつつ並列実装 |
| 可観測性 | 状態確認 | ダッシュボード、進捗報告、未読管理、tmux出力取得 | 現在地が把握しやすくレビューしやすい |
| ナレッジ管理 | なし/限定的 | メモリ保存・検索、グローバルメモリ、アーカイブ | ノウハウ再利用で2回目以降が速い |
| コスト/モデル管理 | なし/限定的 | コスト集計、警告閾値、standard/performance 切替 |
速度とコストの両立を調整しやすい |
| CI前後フロー | 実装中心 | multi-flow(軽量)/multi-issue-flow(Issue〜PR) |
プロジェクト規模に応じて運用を選べる |
補足: 追加実装のポイント
運用の堅牢化
MCP側に「監視・復旧・権限」を持たせたことで、単に並列で速いだけでなく、止まりにくい運用に寄せられました。
開発フローの2モード化
multi-flow は「Issueなしでサッと並列実装」、multi-issue-flow は「Issue起点でPRまで完走」と使い分けできます。
チーム向けの管理機能
メモリ/アーカイブ/コスト管理は、個人開発よりチーム開発で効いてきます。とくに「誰が何をやったか」と「次回再利用できる知見」が残るのが大きいです。
特におすすめ: 複数種類のAIエージェント対応
今回の実装で個人的に一番推しているのが、利用するAI CLIを切り替えられる設計です。
- Claude系で強いタスク
- Codex系で強いタスク
- Gemini系で強いタスク
を、同じマルチエージェント基盤で扱えるようにしました。
なぜ効くのか
1. タスク適性に合わせてモデルを振り分けられる
設計議論・実装・調査で得意分野が異なるため、単一モデル固定より精度が上がるケースが多いです。
2. ベンダーロックを弱められる
1社の仕様変更や障害があっても、運用自体を止めずに回しやすくなります。
3. 将来の機能進化を取り込みやすい
新しいモデル・新しいクライアントが出ても、フロー全体の作り直しを避けやすいです。
実際の使い分けイメージ
軽量で回したい場合(Issueなし)
# 例: 小〜中規模改修を並列実装
multi-flow "この機能を3タスクに分割して並列実装"
ガバナンス込みで回したい場合(Issue〜PR)
# 例: Issue起点で並列実装し、PRまで作成
multi-issue-flow "要件XをIssue作成からPR作成まで実行"
MCP側の実行イメージ
1. ownerがworkspace初期化
2. adminがタスク分解・worker割り当て
3. workerが並列実装と進捗報告
4. 異常時はhealthcheck -> recovery
5. 完了後にレビュー・統合・クリーンアップ
公式機能の進化と今後方針(2026-02-08時点)
ここは現時点の動向も重要なので、具体日付で整理します。
Claude側
Claude Code公式ドキュメントでは、/agents コマンドでエージェント作成・管理を行い、.claude/agents/ でプロジェクト固有エージェントを定義できる導線が提供されています。
私の体感でも、公式機能のほうが安定する場面は増えています。今後は自作フローに公式のAgent Teamsをどう組み込むかが次のテーマです。
Codex側
OpenAI公式の「Introducing the Codex app」は 2026年2月2日公開 で、複数エージェント実行・worktree・スキル活用を含む運用のしやすさが一段上がっています。
Codex側もUI/UX改善が続く前提で、MCPの価値は「バックエンドのオーケストレーション」に寄っていくと見ています。
まとめ
参考実装を土台にしつつ、今回の実装では次の方向に広げました。
- 並列実装の速度だけでなく、運用の堅牢性を強化
- Issueあり/なしの2種類のWorkflowを用意
- 複数AI CLI対応で将来の選択肢を確保
マルチエージェントは「一部の人の実験」から「日常開発の選択肢」に移りつつあります。
まずは小さい改修からでも、ぜひ並列開発を体験してみてください。
参考リンク
- Claude Code × MCPで複数AIエージェントを作って並列開発する
- MCPサーバーを作って、Claude Codeでマルチエージェントの並列開発を実現する(v1.1.0)
- Codex CLIでMCPマルチエージェント並列開発を実現する
- yohey-w/multi-agent-shogun
- shiiman/multi-agent-mcp
- shiiman/claude-code-plugins
- shiiman/dotfiles
- Claude Code – Agent Teams
- Introducing the Codex app

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